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東日本大震災から9ケ月目(2011.12.11)に開催した東北復興応援チャリティー・コンサートTama・Tokyo Action~冬の章~に参加した4団体(OH!ジーンズ(主催)/エスニック・キッチンROSSA/日本の踊りを習う会)は、その後も、それぞれの音楽活動を通じて、復興応援に取り組んでいます。

OH!ジーンズと日本の踊りを習う会が、東北応援CDを作りました。
エスニック・キッチンが結成5周年を記念して、東北応援CDを作りました。
東北応援CDについてのご報告~売上金全額を「仙台つどいの家」に復興義援金として寄付しました

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中国瓢箪笛=葫芦絲(フルス)との出会いと格闘 [★楽器のおはなし]

エスニック・キッチンのオリジナル曲「NIGHT DANCE」で使っている中国瓢箪笛との出会いと格闘のおはなしです。
苦闘記なので長~~~いです。おしまいまでおつきあいいただけたら嬉しいです。おしまいに音源でてきます。

■瓢箪付きの謎の笛が、中国から我が家にやってきた
たしか去年の夏のはじめごろのことでした。
頻繁に中国に行っている叔母が、中国で買ってきたという瓢箪付きの笛を私にくれました。
20100802フルス(中国の瓢箪笛).jpg

はじめて見る楽器で、いったいどこから息を吹き込むのかと思ったら、瓢箪の先にプラスチックの歌口がついています。
解説書もついていましたが、中国語なのでわけわからず。
とりあえず吹いてみると、音程の違う音が二つでます。
三本並んでいる竹の真ん中の竹には指穴があいていて、ドレミの音階がでます。
むかって右の竹の下のほうに穴があいていて、それを左手小指で押さえると、下から単音のドレミ音階になり、穴を開放すると「ラ」の音程で別の音がでます。

どうやらどこかにリードが仕込んであるようで、音色はチャルメラ系というか、笙のような音というか、なんともエスニックな不思議なサウンドです。
しかし、何故、ドレミ以外の音が一緒に出るようになっているのかがわからない・・・。楽器の名前もわからない・・・。

叔母は、今、中国のあちこちで吹かれているこの笛の情緒的な音色にひかれ、自分で練習をしようと思って買ってきたらしいのですが、どうやら自力では何ともならなかったらしく、エスニック音楽をやっている私に、「この笛、何かに使える?」と言ってくれたのです。
しかし、さあて、どうしましょう。エスニック・キッチンのこれまでに作った曲にはちょっと使えそうもないので、そのうちにこの笛用の曲を書くしかないよなあ・・・、と思っていたところに。

■正倉院復元楽器にドキドキ!
2010年7月30日の午後のことです。
虎ノ門の、昨年オープンした東京中国文化センターへ。
正倉院に伝わる天平時代の渡来楽器(シルクロードから入ってきたもの)の復元と、その当時の音楽の復元で知られる劉宏軍 【Lyu Hong jun】 さん(天平楽府てんぴょうがふ主催)の講演を聞きました。
正倉院に伝わる天平の楽器は宝物なので、もちろん、それを手にとって演奏することはできません。
それを復元製作して演奏してみることで、はじめてその響きを知ることができます。それをやっているのが劉宏軍さん。
すばらしい復元楽器を実際に見せてもらい、いくつかは音も聞かせていただきました。
もう、眩暈がしそうなほどワクワクしました。

講演が終わった後、楽器に近づいて、手にとったり、写真を撮らせていただくことができました。
楽器のまわりは受講者がどっと取り囲んだので、人垣をぬってやっとこ撮った写真です。

▼四弦琵琶
20100730正倉院復元楽器四弦琵琶.jpg

▼管楽器
20100730正倉院復元楽器笛類1.jpg

画像左側の瓢箪から竹が伸びている楽器は、雅楽で使う笙(しょう)のもともとの形。瓢箪がパイプ状になっていて、細くとがった先端から息を吹き込みます。
右端に半分欠けで写っているのが、現在の笙と同じ構造に吹き口のパイプがついているもの。
笙は本来、こういう吹き口が付いていますが、パイプがついていると息がたくさん必要なので、日本の雅楽ではこのパイプをはずして演奏するようになったのだとか。
劉さんは、「パイプをつけて吹くべきだ」とおっしゃり、パイプのついた笙でオリジナル曲を聞かせてくださいましたが、その音量の大きさと音色の豊かさにびっくり仰天。
日本が鎖国状態となった平安時代に、渡来の楽器が国風化してしまった以前の、もとの音色が聞こえ、まさにこれが天平サウンドでしょう。

二種類の笙の間にある、サンポーニャみたいな細竹の並んだ楽器も復元楽器です。サンポーニャと同じように吹きますが、
劉さんがちょこっと吹いてくれた音の大きさに、これまたビックリ。

▼石の尺八(画面上)と横笛(その下)
20100730正倉院復元楽器笛類2.jpg

これは、横笛奏者である劉さんの専門の楽器で、タダでは音は聞かせられないとのこと。音は聞けませんでしたが、すばらしい彫刻でした。

で、上の復元楽器の写真には写りませんでしたが、もうひとつ、瓢箪のついた笙みたいな楽器があって、なんとこれが、最近叔母が中国で買ってきた笛と同じものだったのです!

講演が終わったあと、劉さんに聞いてみると、どうも正倉院の復元楽器ではなさそうですが、笙の一種だそうで、「フルス」とかいう名前のようです。
同時に二つの音が出るので、まさに笙です。

で、ほんのちょこっとですが、劉さんがこの笛を吹いてくれたのです。
その瞬間、この笛の本来の音色というか、響きがわかりました。
で、ひらめきました。
エスニックキッチンの新曲で使えるぞ!!!

ちょうどその頃、エスニックキッチンでは、パーカッションのキムラ氏が、突然作曲を始め、中東風のエスニックな曲を作りました。
とりあえず篠笛とサックスでメロディーをユニゾンで吹いてみたのですが、ナイトダンスという題の、ベリ-ダンスを思わせるようなエスニックなメロディ-をさらにエスニックに料理するにはどうしたらいいのかと考えていたところでした。

ちょうどそんなタイミングで、劉さんの本物の音を聞くことができて、これだわ!!と結びついちゃったのですから、世の中、ホントに何に出くわすかわかりませんね。

■新曲「NIGHT DANCE」用にあたらしいフルスを入手
葫芦絲(フルス)という笛について、ネットで調べまくっていろいろとわかってきました。

お茶の発祥の地と言われる雲南省の山岳地帯に住む少数民族が伝える瓢箪笛で、瓢箪から3本の細竹が突き出ていて、メロディーの他に和音が一緒に出ます。
日本の雅楽で使う笙(しょう)という楽器のルーツなのではないかと思えるその楽器は、一旦すたれかけましたが、ここ数年、中国全土で大流行になっているそうです。
叔母がフルスを買ったのは、雲南省からは遥かに遠い、中国の東部、少林寺の近くだと言っていました。
少林寺に限らず、あちこちの町で人がフルスを吹いていたと言うので、本当に中国全土で流行しているようです。

調べてみると構造が少しずつ違うものがあるようで、叔母からもらったフルスは、メロディ-以外の持続音は一音しか出せませんが、二音出せるものもあって、持続音を止める時には詰め物をする形態のものもあるようです。
ネットでフルスの名手の演奏を聞いてみると、これが何ともいえず良いのです。そうなると、とにかくフルスがいっぱい並んでいるところに行って現物をみたくなるのが人情というもの。

ところが中国楽器の専門店というのは東京にはほとんど無いようで、ひとつわかったのは埼京線の十条に一軒。
というわけで、駅前で夕食の買出しのつもりが、中央線・埼京線に乗り、十条に着いておりました。

中国楽器屋というそのお店は、ホームペ-ジに書いてあるとおり、本当に十条駅南口からゼロ分、徒歩29歩?でした。

B♭管とF管を見せてもらい、いろいろと試奏。
フルスは一番下の音が「ソ」ということになっていて、下から、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラとなっています。
下のソと同じ指使いで弱い息で吹くと、ソより下のミの音が出ます。
B♭管とかF管とかは、笛の音階の「ド」にあたる音の実音が何かということを示しています。
ちなみに、叔母からもらった笛は、B♭管と書いてあるのですが、実際にはA管です。
十条のお店のB♭管は、ちゃんとしたB♭管でした。

同じ値段で同じつくりのB♭管でも、下のソの音程の良いものと悪いものがあり、音程の悪いものは古調な味わいがあってこれはこれで良いのですが、アンサンブルには向きません。
音程のいいB♭管の他、F管も吹いてみましたが、なんとも哀愁に満ちたいい音色です。
瓢箪の部分は本物の瓢箪ですが、竹の部分は黒檀で作ってあるのだとか。その上、笛の先に牛角のベルまでついていて、音量、響きともに豊かです。
F管は楽器が大きい分、お値段もそれなりにはりますが、楽器は出会いが大事!
というわけで、牛角ベルつきF管を購入。

ラッシュになる前の電車に乗って、大きなケ-ス入りの新しいフルスを大事にかかえて国分寺に到着。
本当は夕食の買出しに来たのでした。
晩の食材を買って急いで帰宅し、さっそくケ-スをあけました。!
20100805フルスのケ-ス.jpg

20100805フルス購入.jpg

夕食の支度そっちのけで早速吹いてみると。

ありゃ?

一番使う中間の音域の時、ジ-ジ-と雑音がはいります。
お店で吹いた時は、こんな雑音は入っていませんでした。
気にしなければ済む程度ではなく、これでは楽器としてはちょっと使えないという雑音です。
場所はどうもリ-ドの近くのようです。リ-ドは筒の先端についていて、瓢箪の中に隠れています。

とりあえず、リ-ドの破損や錆つきを疑い、とりあえず筒の部分を瓢箪からはずしてみましたが、特に破損もサビのなさそう。
特定の音域で雑音がはいるので、どうも、金属部品が共鳴しているようです。

それから、フルスとの格闘がはじまりました。
分解しては組み立て、吹いてみては分解し・・・。夜中まで続きましたが解決せず。

■瓢箪笛ジャブジャブ水洗いの暴挙
せっかく買ってきた楽器が不調で使えないって、落ち込みます。翌朝も憂鬱な気分。
買ったお店の開店時刻を待って電話しようかなと思いながらも、また分解しては組み立て・・。
雑音の原因はどこかに必ずあるはずでも、これだけ探してもわからないということは、お店でわかる保証もないし。

で、ためしにリ-ドの取り付けてある部品と笛管をつなぐジョイント金具の隙間が共鳴しているのかもと思い、薄いティッシュを挟んでみたら、なんと雑音が止まりました。

これで解決!!と喜んで吹いていたら、またもやジージー。
詰め物が薄すぎるのかと思って、今度はつなぎ目にクレラップを巻いてから繋いでみると、なんと、笛の音程がおかしくなりました。

で、このラップをはずすために接合部分をはずしていたら、なんと、リ-ドのついているパ-ツがさらに分解されてしまいました。
見ると、木と真鍮金具がただの木工ボンドでとめてあったみたい。
たしかに、細工は非常に粗雑です。

あ~あと思いながら、ラップは全部はずしてとりあえず組み立てて吹いてみると、なんと雑音が出ない。

ボンドの乾いたのがカラカラ言っていたのでしょうか。よくわからないけど、雑音はなくなったので喜んで吹いていると、またもやジージーが始りました。

こうなるともう、原因がわからない。
あとひとつ考えられることと言ったら、瓢箪の内部の細かい粉がリ-ドに付着して雑音が出ることくらいです。

どうしようかなあとしばらく考えましたが、瓢箪の中の粉なら、もう瓢箪を洗ってみるしかないですよね。
まあ、瓢箪って水筒にするくらいだから、水かけて洗っちゃえ!ってんで、またもや分解。
瓢箪だけにして、水道水で内部をジャブジャブ。

そして、フルスはバラバラになったまま、瓢箪を自然乾燥。
さて、どうなるでしょう。

組み立てて吹いてみたら、雑音が完全に止まりました。
やっぱり原因は瓢箪内部の粉だったのか、やれやれと思ったのもつかの間、時間がたったらまたジージーがはじまりました。

直ったかと思ったら、直っていなかった・・。

もしかしたら、F管の共鳴音は楽器の宿命的なものかもしれないとも考えてみましたが、掃除をすると一時的に雑音が止まるということがあったので、どうやら宿命ではないようです。

多分、楽器は長いことお店にあって、その間、リードが経年劣化していたということではないかと思います。
そこに楽器の汚れも加わって、複合的な雑音が出ていた。
汚れをとると雑音が収まったが、私が楽器を吹いたことで、経年劣化していたリードの破損のほうが進んでしまい、リードの破損による雑音のほうが残っている、ということかな。あるいはリードを切ってある金属板が共鳴を起こしているのかもしれません。

楽器の分解のたびに楽器のお掃除になっていたのか、雑音の質が少し変わってきたような気がします。最初は、カラカラいう音が入っていたものが無くなって、純粋なビリビリ音に変化したようです。
和音を鳴らしている時は、このビリビリ音があまり目立たなくなりました。

ただ、まあ、決して音楽的な音ではありません。
三味線の「さわり」とか、バラフォンの瓢箪に穴をあけて膜を貼るなど、わざとビリビリ音を出して全体の響きを広げる構造になっている楽器がありますが、フルスのビリビリ音は、そういう音楽的効果のための音とは思えません。

やっぱり、リードに目に見えない程度の破損があるのではないか、あるいはリードを切ってある金属板が共鳴を起こしているのかもしれない、ということを考えてみました。
お店に、リードが壊れた場合は取り寄せて取り替えてもらえるという確認はしてあるので、一度、お店に持っていってリードを交換してみる必要はありそうです。
それで雑音が取れなければ、また原因がわからなくなってしまいますが。

しかし、トラブルのおかげでフルスの構造が非常によくわかってきました。
最初からトラブルというのは不運でしたが、そんなに頑丈な楽器ではなさそうなので、いつかは見舞われるトラブルでしょう。最初に見舞われておいてよかったのかも、と考えることにしましょう。

しかし、十条は遠いしなあ・・・。

■再びフルスを水洗いしながらリードの裏を磨く
十条の中国屋楽器店さんに電話。
症状をお話すると、一度、楽器をみせてくださいとのこと。
ただし、交換用リードの在庫はなく、中国(雲南省)から取り寄せになるので、一ヶ月くらいはかかるとのこと。
B♭管に取り替えてくれるという話もありましたが、やっぱりF管の低音が気にいって買ったので、B♭管ではねえ・・。

一応、明日、持って行くことにして電話を切りましたが、雑音の原因はどう考えてもリードかその近くにあるはずだし、リードの取り寄せが一ヶ月も先となると考えてしまいます。
今、楽器に出会って一番モチベーションが高いわけですから、この時期に楽器が吹けないようではハナシになりません。

で、自力で最後の挑戦をしてみることにしました。
雑音のジージー(ビリビリ)はあいかわらずですが、変な共鳴がはいるのは、下からソラシドレまでで、そこから上の音には雑音ははいりません。
となると、リードの破損ではないのかもしれません。
リードの破損なら、全部の音が割れたりしそうなもの。

それで、何が起こっているのか、音からイメージすることに神経を集中。
ちょうど、お医者さんが患者に聴診器を当てて音から判断するように。

雑音の出所は間違いなくリード・・。
リードのヘリがなんだかギザギザしていて、それが擦れて雑音が出ている。
いや、ヘリじゃなくて、裏に何か異物が着いているような感じもします。

もしかしたら、リードの裏が錆びているのかも。
もしくは、リードの切り口にギザギザした金属屑がからまっているのかも。
そんな感じの音がします。

それで思い切って、リ-ドの根元の切り口と裏側をいじってみることに。
といっても、カッタ-の歯ではしならないので上手くいかないし・・・。
と思ったら、目の前に両面テ-プが。
粘着テ-プを貼り付けているツルツルした紙が使えそうです。

ツルツルした台紙から粘着テ-プをはずして、ツルツルした台紙のほうをリ-ドの裏側に通して左右に動かし、リ-ドの裏側とヘリを擦ってみます。
そうすると、結構ひっかかって動きにくい。
どうやら、何かひっかかるものがあるらしい。
しばらく擦ると、紙のヘリがボロボロしてきたので、紙をとりかえてもう一度。
さらに、紙をはずして水洗いし、細かい紙の屑を取り除きます。

水気をよく落として自然乾燥させてから、楽器にとりつけて吹いてみると、なんと、雑音消えてます!
でも、これまでも何度か雑音が消えてはまた鳴り出すことが繰り返されたので、疑い深くなっております。

で、今、雑音が消えてから3時間ほど経過していますが、雑音は消えたままです。
リードをいじった時に少しリ-ドが開きすぎたのか、音階よりも筒音が先に出てしまうようになったので、リードの隙間を少し狭く調整してみたら、きれいに音階も出るようになりました。

ふむ、これで復活でしょうか。
フルス初心者のくせに、リ-ドのヘリを擦ってみたり、水でジャブジャブ洗ったり、随分と思い切ったことをしたものですが、買った時はザラザラしていた楽器もこれできれいになりました。

楽器に何が起こっているのか、フルスの声を聞いたことで、この楽器がどう鳴りたがっているのか、感覚的にわかってきたような気もします。
分解して部品の素材を手で触ってみた感触も、楽器の振動を感覚的に捉えるためには大事なこと。

そういえば、和太鼓に取り組み始めたころ、和太鼓と同じ材質の欅の木を削ってみたことで、太鼓が手の延長みたいに感じられるようになったことがあったけ。

何より、楽器を自分で手入れして蘇ると嬉しいものです。愛着、湧いてきました。

これ以来、一年と2ケ月ほどたちますが、ジージーという雑音ははいらず、快調に鳴っています。
苦労して直したのはワタシですが、この楽器は、アルトサックス担当の夫タケ氏のものとなりました。

さえ、そのフルスの調べですが・・。
「古い調べ」
日本における葫芦絲(フルス)演奏の第一人者、伊藤悟さんの演奏。


すばらしいでしょ?
伊藤悟さんの師匠、故エン・ダーチュエン(ロ艮徳全)氏の演奏は、残念ながらYouTubeから削除されてしまいました。

ドローン管の音を持続させるために、循環呼吸が使われています。

エスニック・キッチンの演奏では、もちろん、循環呼吸はできないのでやりませんが、中東風の曲の中で中国瓢箪笛を使ってみたのは、どうやら成功したのではないかと思っています。

NIGHT DANCE(2011.1.30 エスニック・キッチン)


上の音源はエスニック・キッチン(3人)単独の演奏ですが、下の音源はROSSAさんが加わったESSA-Hoiとしてのデビューの時の演奏です。
バイオリンとギターとカホンが入り、奥行きが増し、そしてエスニック度もモダン度もともに増したように思いますが、いかがでしょう。
12/11は、合同バンドESSA-Hoiで演奏いたします。

NIGHT DANCE(2011.8.20 エスニック・キッチン+ROSSA=ESSA-Hoi)





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三味線の調弦と曲順の秘密 [★楽器のおはなし]

西洋楽器と和楽器(民族楽器)のアンサンブルのチューニングのおはなし
http://tama-tokyo-action.blog.so-net.ne.jp/2011-10-29
で、三味線は曲ごとに、歌い手のキーにあわせて調弦をしなおすというお話をいたしました。
そのチューニングの基準となるものは、尺八(平均律チューンであるわけではない)の音だったり、調子笛だったり。
三味線というのは、そういう意味で、非常に自由度の高い、フレキシブルな楽器だというわけです。

三味線、つまり三本の糸は絹糸でできていて、ものすごく伸び縮みする。
これが幅の広い自在な調弦を可能にしているわけで、1オクターブ以上、キーをかえることも可能なのです。

DSC02588三味線ソロ正調伊勢音頭.JPG

ところが、事はそう簡単じゃない。
1オクターブもキーをかえるために伸び縮みさせることのできる絹糸は、いいかえれば、糸自体の反発も大きいということです。
三味線は、低い調弦の曲から、少しずつ糸を巻き上げて、高い調弦の曲へと移って行く時には、ピッチが安定します。
ところがこの逆、高い調弦の曲から低い調弦の曲に移ると、演奏中に糸が縮んでピッチが上がってしまうのです。

糸を張って弾く楽器だから、糸がゆるんで音が下がりやすいのではないかと思われがちですよね。
もちろん、音が下がることもあります。繊細な絹糸なので、舞台上がライトで暑くなっただけでも、糸が伸びて音が下がります。
また、キーの低い曲からいきなりキーの高い曲にかわる場合、糸巻きを急激に巻き上げて糸を伸ばしますから、糸は元に戻ろうという力が働き、ピッチは下がります。
でもそれだけでなく、急激に調子を下げた時(糸をゆるめた時)は、演奏中に糸が縮もうとする力が働いて、ピッチが上がってしまうこともあるのです。

そこで、複数の曲を続けて演奏する時は、曲の並びも考えなくてはなりません。
キーの低い曲から、少しずつ高い曲へとなだらかに移って行くことがベストです。

今回のコンサートのOH!ジーンズの曲目は、6曲の東北民謡と、語りと音楽「平泉の夢」、そしてフィナーレの合同演奏へと続きます。

6曲の東北民謡は
宮城県の海の歌「どや節~斎太郎節」、宮城県の山の歌「秋の山唄」
福島県相馬地方の「新相馬節」、青森県津軽地方の「津軽タント節」
岩手県沢内地方の「沢内甚句」、同じく岩手県沢内を出どことする「南部牛追い唄」

という構成にして、東北6件のうち、今回の地震・津波被害が大きかった太平洋側4県の名曲を並べました。
そういう意味づけで曲順を決めたのですが、実はこの並びには、「三味線の調弦の都合」という隠された理由があるのです。
三味線の調弦をほとんど変えなくて済むように、またかえる時は低いキーから高いキーへと。
このように並んでいるのです。

語りと音楽「平泉の夢」は、ちょっと特殊な調弦をします。
9本調子の1オクターブ下という、皆無ではないけれど、滅多にない低い調弦で、琵琶のような雰囲気の音にしてしまいます。
この曲用に、一本、別の三味線を用意してもらいます。
そして、「平泉の夢」では三味線を弾く曲が、効果音的なものも含めて4曲ありますが、すべて同じ調弦のまま行けるように編曲してあります。

最後のフィナーレ。
これは、前のページにも書いたように、調弦が半音ずつあがるように曲が並んでおります。

曲ごとに調弦して、瞬時にキーそのものを変えてしまう三味線という楽器。
世界の中の弦楽器としては、非常に珍しい進化をした楽器のように思います。

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タムを真っ二つに切断! [★楽器のおはなし]

エスニック・キッチンの練習から帰ってきたところです。

今日は12/11コンサ-ト第一部でやる曲を全部と、フィナーレで演奏する2曲を順番どおりに練習。
アンコールがかかった時にやる予定の、曲名は内緒の「花」は時間切れで割愛。

サックスのタケ氏、今日は力まず軽く吹いていて、ピッチはかなり安定。
「ノルウェーの森」のアドリブも、時々リズム迷子になるけど、かなり「らしく」なってきました。
なんたって、この曲で生まれてはじめてのアドリブでございます。

パーカス・キンタポン氏は今日も華麗なドラミング。

そのキンタポン氏が、思うところあって、タムを真っ二つに切断。
10月半ばの稽古の時にも、その真っ二つに切断したブツを持ってきて、練習の後にこっそり叩いてみていたらしいが、私はぜんぜん気づかず。
彼のブログでそのことを知ってびっくり仰天。

今日、その真っ二つに切断したタムを始めて見せてもらいました。
胴の深い方はタムとして、浅いほうはスネアとして使うとのことで、実際叩いてもらうとこれがなかなか面白い音。
かなりアーシーというか、アフロっぽいというか。
エスニック・キッチンに新しいサウンドが加わりそうです。

なぜタムを切断したかは、こちら、キンタポン氏のブログに詳しい。
http://dolphin-dance.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/13-20111010-2fa.html
タグ:タム切断
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西洋楽器と和楽器(民族楽器)のアンサンブルのチューニングのおはなし [★楽器のおはなし]

12/11のコンサートのフィナーレは、出演者が全員出ての合奏をします。

曲は「アメイジング・グレイス」と「東京音頭」、もしもアンコールがかかったら「花」を用意してあります。

「アメイジング・グレイス」で演奏する楽器は、尺八・三味線2台、バイオリン、ギター、アルトサックス、カホン、パーカッション(キムラセット=バスドラ抜きのドラムセットに和太鼓の小締太鼓入り)+歌。
「東京音頭」は、三味線が一台になり、篠笛がはいり、ギターをサズ(トルコの弦楽器=民族楽器)に持ち替えます。(サズ入りの東京音頭は世界初でしょう。)
そしておハヤシ隊も加わって、総勢12人の大合奏となります。

ここでよくよく考えておかねばならないことは、西洋楽器、和楽器・民族楽器がごちゃまぜの合奏で、どうやってチューニングをあわせるか、ということ。

西洋音楽のチューニングシステムは、基本、「実音A(ラの音)」を基準として、すべての楽器が「ラ」を鳴らした時に音程が合うように調節します。
一口に、「実音A(ラの音)」といっても、そのピッチは、昔は440が基準でしたが、近頃は少し高くなって442を基準にしたり、もっと高いピッチを基準することもあります。
そして、西洋の弦楽器は、曲ごとに弦の音を3度上げたり、1度下げたり、みたいなことは決していたしません。調弦は、微妙なピッチを調整するだけで、基本的に固定されています。

ところが、和楽器のチューニングは全く違うシステムなのです。
尺八や篠笛などの管楽器は、半音刻みで調の異なる笛をたくさん持っていて、歌い手のキーにあわせて笛を持ち替えます。
三味線に至っては、歌い手のキーにあわせて、一曲ごとに調弦をやりなおします。

たとえば、今回の「アメイジング・グレイス」の歌のキーは「D♭」ですが、
三味線の調弦は、一弦:D♭ 二弦:A♭ 三弦:D♭にあわせ、この調子を「5本の二上り」と呼びます。

二曲目の「東京音頭」の歌い手のキーは「Gm」ですが、
三味線の調弦は、一弦:D 二弦:A 三弦:Dにあわせ、この調子を「6本の二上り」と呼びます。この曲は、3本の弦の中には主音(G)がありません。

そして、アンコール予定曲の「花」の歌い手のキーは「 E♭」ですが、
三味線の調弦は、一弦:E♭ 二弦:B♭ 三弦:E♭にあわせ、この調子を「7本の二上がり」と呼びます。

こうやって、三味線は曲ごとに調弦をかえるので、西洋音楽のような「実音A」を基準とした調弦は事実上不可能。

さらに和楽器でややこしいのは、実は尺八。
尺八は、半音刻みで調の異なる笛を持ち替えますが、1尺8寸、1尺9寸、2尺というように、寸法にあわせて竹を切ったものは、西洋の平均律よりも高めの音が出るのです。
最近は、竹の寸法ではなく、平均律にピッチをあわせた尺八もありますが、大畠さんの尺八は寸法であわせてある尺八。

たとえば、1尺8寸(これが尺八)の丈のものは、最低音の「D」の音が平均律のDよりもちょっと高めに出る。
2尺の丈のものは、最低音の「C」の音が平均律のCよりもちょっと高めに出る。
これはもちろん、吹き手のクセというものも関係していますが、通常、三味線は、尺八が出した基準音を耳で聞いて、それにあわせて調弦をします。
平均律より高かろうと低かろうと、三味線には、尺八が出した基準音に一弦の音をあわせることができる。
もっとも、この調弦を瞬時に正確に行うということは、実際には非常に技術を要することで、それが三味線の難しさでもあるのですが、楽器自体はそういうことをするように作られているわけです。

ところが、西洋楽器の弦楽器は、そういう対応をするようには作られていない。

で、今回どうするかと言うと、三味線は尺八の音に合わせるのではなく、三味線用の調子笛で音をとって調弦することに。
この調子笛の「A」の音は、442ではなく、440となっていることをまず確認しました。
そして、当日のフィナーレでは、バイオリン、ギター、サズ、アルトサックスは、控え室にて440にきっちりあわせたチューニングを済ませ、舞台に登場。
そして、舞台の上で三味線が、調子笛にあわせて正確に調弦ができれば、尺八が高めである以外、すべての楽器のピッチが合うはず。

尺八はやや高めに浮いた音になるはずですが、むしろそれが、尺八の味になり、歌のピッチは、音の大きいほうに自然に合うはず。

以上のような構想をもって、西洋楽器、和楽器・民族楽器ごちゃまぜの前代未聞(?)の大合奏にトライするわけですが、果たして、リクツどうりに行くかどうか。
しかし、やってみる価値のある挑戦ではあると思っています。

全員集合の第一回目のリハーサルは11/20。
なんともスリリングでかつ、楽しみなリハーサルとなることでしょう。

そして、リハでうまくいっても、本番でどうなるか。
この結末を見届けたい方、ぜひ、聞きにいらしてねっ!

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